« 2025年2月 | トップページ | 2025年6月 »

2025年4月

2025年4月18日 (金)

【柴田博仁メルマガ】No.4: デジタル教科書実験の報告

[2023年10月26日 配信]

柴田博仁メルマガご登録の皆様

お久しぶりです。
群馬大学情報学部の柴田です。

メルマガの第4回目をお届けします。
(お届けの頻度が少なくてごめんなさい)

夏休み中に『デジタル読書体験記』(仮題) を書き上げると意気込んでいたのですが、
完成させられませんでした。
エッセイも書き上げられていません。
「二兎を追う者は一兎をも得ず」というところでしょうか。

そうこうしている最中に、4年生の卒業研究の時期を迎えました。
今度はそちらに集中です。
上記2冊の本の完成には、もう少し時間がかかります。
次に執筆に集中できるタイミングは、2月の中旬。

そんな中、嬉しいことが2つありました。
デジタル教科書実験の論文発表とNHKへの出演の決定。
本日は、この2つのことをお話しします。

■ デジタル教科書実験の論文発表

10月21日、信州大学工学部 (長野) で電子情報通信学会の研究会があり、
4年生の小林さんが研究発表を行いました。

小林 眞夢, 長谷川 彩乃, 安藤 裕, 小泉 健輔, 澤田 麻衣子, 柴田 博仁: 初等教育でのタブレット端末の評価: 算数授業での行動ログ分析. 信学技報, Vol.123, No.226, ET2023-21, pp.19-26 (2023年10月).
https://ken.ieice.org/ken/paper/202310212CXX/

2年前から行ってきた群馬県内の小学校でのデジタル教科書の評価実験の結果報告 第1報です。
とにかく、多くの人に協力していただいて、予算も時間もかけて実施した大規模実験です。
プロジェクトリーダーの私としては、
「ようやく、ここまでたどり着いた」という安堵の気持ちでです。

論文は残念ながら有料です。
学会の正式バージョンでなくてよければ、私に個人的にアクセスしてください。

<論文の概要>
授業でのタブレット端末の利用が小学生児童の学びや行動に与える影響を定量的に評価した。
1年生の2クラス (64名) が対象であり、一方では紙の資料を用いて、他方ではタブレット端末を用いて算数の授業を行った。
授業では、ペアでりんごを数えさせたり、分類させる課題を行わせた。
児童の行動と発話をビデオ撮影して、プロトコル分析を行った。
結果として、紙条件とデジタル条件とで課題の正答率に違いはなかったが、発想の転換が必要な回答例については紙条件のほうが多かった。
その理由として、紙条件のほうが発話量が多く議論が活性化し、課題について時間をかけて議論していた。
また、アイコンタクトの頻度が多く、相手との密なコミュニケーションが可能であった。
こうした紙の利点が問題構造を深く分析させたと推察された。


研究者自らがこんなことを言いだすのは控えるべきなのかもしれませんが、
私らしく、遠慮なく、率直に。
本研究は、
デジタル教育でのタブレット利用の問題点をミクロに定量的に示したという意味で、
とても意義あるものだと思っています。
いけてる研究のはずです。
世界中の多くの人々に伝えていきたい。

今回の発表は研究会ですので、
正式な学術論文というよりも、速報的な意味合いが強い報告です。
一部、報告していない実験結果もあります。
今後、詳細な報告を英文論文として投稿する予定です。

長野はうっすらと紅葉していました。
蕎麦も酒もうまかった。
20数年ぶりに、大学時代の友人に学会会場で出会いました。
偶然に。
物理を学んでいた彼は、今は教育工学を研究していました。
学生時代の思い出を話しながら酒を飲んだら、
それはうまいに決まっている。

■ NHKへの出演の決定

NHKのテレビ番組『趣味どきっ!』への出演が決まりました。
先日、オンラインで打合せをして、今週末に渋谷で収録があります。
放送は12月の予定 (決まったらまた案内します)。
NHKの教養番組らしく、放送に先立ってテキストが販売されます。
そこにも、私の短い記事が掲載されます。

番組の内容は「紙と手書き」の特集。
文具王の高畑正幸さんがメインで、
私は専門家の観点から、若干、コメントするだけです。

それでも、初めてのテレビ出演。
着ていく服の打合せをスタッフとしました。
明日はYシャツを買おうかと考えています。
収録はきっと緊張するでしょうね。
でも、楽しんでくる。

 

 

【柴田博仁メルマガ】No.5: 煥乎堂イベント「群大生が選ぶ! 貴方におすすめの本!」

[2023年10月26日 配信]

柴田博仁メルマガご登録の皆様

群馬大学情報学部の柴田です。

メルマガの第5回目をお届けします。

しばらくメルマガ配信がないと思ったら、1日に2回の配信。
計画性がなくてごめんなさい。

追加で報告したいことが2点ありました。
煥乎堂でのイベントと週末の読売新聞の記事の報告です。

■ 煥乎堂でのイベント

10/14(土)~11/19(日)、前橋の煥乎堂書店 (前橋市本町1丁目2-13) にて「煥乎堂へ行こうキャンペーン」が開催されています。
キャンペーン期間中、私の研究室 (HCIラボ) の学生4名「たくみ」「ゆーた」「かず」「やまちゃん」が各々のおすすめの本を展示する「群大生が選ぶ!貴方におすすめの本!」を実施します。
場所は煥乎堂1F入口付近の特設コーナーです。
https://hci-lab.inf.gunma-u.ac.jp/events/kankodo2023.html

本ごとに学生の言葉でポップを作っています。
QRコードから、書籍を薦めた4名に質問や感想を投げることも可能です。
好感度抜群の学生たちが、心あたたまる返答をしてくれるはずです。

お薦めの本は4人ともばらばら。
でも、本に個人的なエピソードがつくことで、
そして、それを目の前のリアルな人間が語ることで、
本の価値が何倍にも高まると信じています。

キャンペーン期間中、煥乎堂のポイントが5倍。
是非、煥乎堂に立ち寄りましょう。

■ 読売新聞の記事

10月28日の読売新聞朝刊に学校図書館協議会のアンケート調査結果の報告が掲載される予定です。
1面に掲載される可能性もあります。
(当日、重大ニュースが入った場合は、1面ではないと思うし、後日にスライドという可能性もあります)

調査は小中高の電子書籍の利用傾向について。
その中で、専門家の見解として、私のコメントが掲載される予定です。
先日の取材で、いろいろとコメントしたので、
どの部分が採用されるのかわかりません。
ですが、
「本は手で読むこと、だから紙の本での物理操作が望ましい」
などの主張が掲載されるものと思います。

本好きが少しずつ増えていくことを期待しましょう。

【柴田博仁メルマガ】No.6: 書籍『「めでたし めでたし」って言いたい!』無料キャンペーン開始

[2023年11月24日 配信]

柴田博仁メルマガご登録の皆様

群馬大学情報学部の柴田です。

寒くなってきました。
4年生はこれか卒論のシーズンに入ります。
私忙しなります。

本日は講演で千葉にやってきました。
海風の香る千葉から、メルマガの第6回目をお届けします。

今回の連絡は2つ。

■ 書籍『「めでたし めでたし」って言いたい!』無料キャンペーン開始

HCIラボ編集部1期生が作成した書籍
『「めでたし めでたし」って言いたい!』
のKindle版の無料キャンペーンを本日17時から開始します。
キャンペーン期間は以下のとおりです。
11月24日(金) 17:00 ~ 11月27日(月) 16:59

キャンペーン期間中、
下のサイトから書籍を無料ダウンロードできます。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0C18QFD8F/

本の紹介については、下のサイトをご覧ください。
https://hci-lab.inf.gunma-u.ac.jp/books/2022/

■ NHK『趣味どきっ!』の放送スケジュールが決定しました

NHKの教養番組「趣味どきっ!」
(Eテレ 毎週水曜日 午後9:30~9:55、再放送は翌週水曜日 午後0:15~0:40)
にて、12月6日から1月31日まで
8回リリーズで特集「心おどる 紙ライフ」が放送されます。

その中で、私が専門家としてコメンテータを務めるのですが、
その放送が第2回 (12月13日) 「書く紙」
になりそうです。

放送に先立ち、NHKテキスト
『趣味どきっ! 心おどる紙ライフ』(NHK出版)
が、11月25日に発売される予定です。
紙の種類や製造工程、紙の使い方や歴史、未来にいたるまで、
紙の魅力を存分に引き出したテキストになっています。

よろしかったら、放送をご覧ください。
そして、テキストも。

【柴田博仁メルマガ】No.7: 本のまちづくりの勉強

[2024年3月24日 配信]

柴田博仁メルマガご登録の皆様

群馬大学情報学部の柴田です。

メルマガの第7回目をお届けします。

前回の投稿が10月26日。
そこから実に5か月。
執筆をさぼって、本当に申し訳ありません。

思えば、今年、はじめてのメルマガの投稿。
新年の挨拶もせずに、大変に失礼しました。

今回の報告は「本のまちづくり」の視察と勉強です。
「本とまち」「本と人」を学ぶため、3つの場所を訪問しました。
・所沢市「角川武蔵野ミュージアム」(2024年3月14日)
・敦賀市「ちえなみき」(2024年3月19日)
・長浜市「江北図書館」(2024年3月21日)

以下、感想を述べます。

【角川武蔵野ミュージアム】

YOASOBIが紅白で歌唱して話題になった「角川武蔵野ミュージアム」。
https://rtrp.jp/articles/127006/

学生2人と行ってきました。

隈研吾氏が設計した、見るからにに目立つ石の建物。
所沢サクラタウンの一角にある。
中には巨大な本棚があり、圧巻。
プロジェクションマッピングも行っており、見ごたえがある。

私の目から見て、角川武蔵野ミュージアムを一言で表現すれば「本のアートの展示場」。
本はたくさんあるが、網羅性はないので、いわゆる図書館とは違う。
本が探しやすいわけでもない。

本が綺麗に並べられて、本好きなら、歩くだけ、眺めるだけで居心地がよい。
本棚にも、選書にも、並べ方にも、工夫がある。
本棚の高さは画一的でなく、段々になっている。
知が流れる状況を表しているのだそうだ。
本は縦置きしたり、面置きしたり。

選書は内容分類なので、専門書の隣にマンガがあったり。
たとえば「生命」の棚では、生物学の専門書から小学校向けの図鑑、マンガ、昆虫の標本まで。
プロデュースは、編集工学の松岡正剛氏。

本は知的好奇心をくすぐるものだけど、
綺麗に並べるとアートになるのだと改めて思った。

1Fにはマンガとラノベ。
5Fは武蔵野の自然や歴史の本を集めている。
立ち読みは自由なので、マンガコーナーは人が多かった。

その他、私が行ったときは、企画展示で芸術家「ダリ」の歴史と作品と言葉を展示。
ダリの個性には、だいぶ惹かれるものがあった。

「本は美しい」「本はアートになる」ことを学んだ1日でした。


【ちえなみき】

2024年3月19日、敦賀市が経営する書店「ちえなみき」を見学。
「ちえなみき」は八戸市が経営する八戸ブックセンターに次ぐ、
日本で2つ目の市が運営する書店。
八戸市が「本のまち」を掲げているのに対して、
敦賀市は「学びのまち」をキャッチフレーズとしてかかげている。

私の目から見て、「ちえなみき」を一言で表現すれば「本を介して人をつなぐ場所」。
書店ではあるけど、立ち読み自由で、飲食自由。
本を買って読む人もいるけど、自分で持ち込んだ本を読む人もいるし、仕事や勉強をしに来る人も。
それぞれが思い思いに時間を過ごしている。
だからと言って騒がしくはない。
本好き、学び好き、知的好奇心のある人、なんとなく時間を過ごしたい人が集まる場所。

敦賀市がかかげるコンセプト「学びのまち」を具現化した場所。
敦賀市における「ちえなみき」存在が、とてもうらやましく感じた。

私が目指す読書SNSの狙いも「本を介して人をつなぐ」こと。
実店舗の「ちえなみき」の試みは参考になるはず。

写真付きの詳細な訪問記録もあるので、興味のある人は下を参照ください。
https://hci-lab.inf.gunma-u.ac.jp/events/20240319_chienamiki.html

【江北図書館】

2024年3月21日、長浜市の図書館「江北図書館」を見学。
日本で二番目に古い図書館。
一言でいえば、「なつかしさを感じる癒される場。

こちらは、やはり写真もある下のページを見てください。
https://hci-lab.inf.gunma-u.ac.jp/events/20240321_kahoku.html

 

【柴田博仁メルマガ】No.8: デジタル読書体験記

[2024年4月25日 配信]

柴田博仁メルマガご登録の皆様

群馬大学情報学部の柴田です。

本日、嬉しい知らせがあります。
書籍出版の企画が通りました。
仮のタイトルは『デジタル読書体験記』

とは言っても、まだ書きあがったわけではありません。
昨年の夏休みに書いていたのですが、
10月に授業が始まって卒論指導の時期に入ってから、
執筆が途絶えていました。
これまで、92ページ52000字、およそ半分ほど書いています。
途中までの原稿を出版社に持ち込み、
企画を通していただきました。
9月までに原稿を仕上げて、2月発売を目標に
出版のラインに乗せていただきました。

そういう決断がなされたのも、
以前に『ペーパーレス時代の紙の価値を知る』を出版した
産業能率大学出版部だから。
『ペーパーレス時代の紙の価値を知る』は出版社の予想を裏切り、
重版を重ねています。
出版から5年たった今でも売れ続けている
ロングセラーとなっているようです。
編集者からは
「読者に長く愛される書籍」
という言葉をいただきました。

前作の『ペーパーレス時代の紙の価値を知る』を愛していただいた
読者の方には、本当に感謝でしかなく、
お礼の言葉をうまく探せないほどです。
この本を通じて得た出会いは数限りなく、…。
などと話し始めると長くなるので、話を元に戻しましょう。


新たな書籍『デジタル読書体験記』(仮題)
は30か月にわたる私の読書記録をもとに書いた本です。

その内訳はこんな具合です。
2019年に、私は自分が所有していた本を全て裁断して、デジタル化しました。
そして、14か月にわたって紙の本は一切読まない「デジタル読書」の実験を行いました。
次に、今度は紙の本での読書も可能にする「紙あり読書」を16か月にわたって実施しました。
その間、読書で感じたメディアの具都合や利便性を日誌に書き留めました。

本実験は、いわゆる実験室で行う制御実験ではないので、
統計的には意味を持たないし、科学的な説得性も高いとは言えません。
それでも、自分を被験者とする30か月にわたる読書実験は、
私にすばらしい知見と経験をもたらしてくれました。
そのことを、実体験と実例をもとに、
デジタル機器での読書の利点と問題点を切実なものとして語りたいと思うのです。

この経験をとおして、私は「読書は身体行為」なのだと強く思いました。
そして「書籍は知識体系」だということも。
書籍ごとに体系が異なるのだから、
書籍のかたまりを意識して書籍を読み進めることが大事です。
そして、紙の本を手にすることは、
書籍のかたまりを意識させる役目を果たしているのだと実感しました。


書きかけの書籍の「第1章」までをPDF化したものを添付しました。
デジタル読書体験からわかったことについては、
もう少し納得いく文章が書けてから、
再び展開させていただきます (たぶん、夏休み)。

書きかけの書籍を
もし読まれましたら、
感想をいただけると嬉しいです。

これまでは、出版されるかどうかもわからずに、
膨大な時間を分析と執筆に捧げていました。
出版の出口が見えたことで、今年の夏は筆がはかどることでしょう。

新緑の季節がやってきました。
お元気で。

 

【柴田博仁メルマガ】No.9: エッセイ『全力の転職』(仮題)

[2024年6月6日 配信]

柴田博仁メルマガご登録の皆様

群馬大学情報学部の柴田です。

前回、現在執筆中の書籍『デジタル読書体験記』(仮題) の案内をしました。
実は現在、もう一冊、まったく別の本を書いています。

専門書ではありません。
群馬大学への就職が決まってから、最初の卒業生を送り出すまでの
3年ちょっとの私の出来事をエッセイとして綴りました。
仮のタイトルは『全力の転職』

まずは、エッセイを書き始めたいきさつから。
本づくりプロジェクトとして、学生に物語を書かせているのだから、
私も書いてみないといけないと思いました。
そうすることで、
文芸書の書き方を学べるだろうし、
創作する人の心理を理解することができるだろう。
そして、何より、学生にチャレンジする見本を見せたいと思いました。

執筆はとにかく楽しかった。
毎週、土曜日に執筆したのですが、土曜日が待ち遠しかった。

学ぶことも多かった。
文芸書と論文は書き方が全く違うのだとわかりました。
普通に考えれば当たり前なのですが、
それを具体的な例をもとに実感できたことが大きい。
読み書きの研究をしているのですから、
創作の喜びや苦労についても語れるようにしないとね、
とはだいぶ前から思っていたこと。

有意義だった執筆ですが、出版社探しは苦労しています。
知り合いの編集者に読んでもらったのですが、断られました。
私の解釈も加えて端的に言えば、
「柴田先生を知っている人には響くだろうけど、
柴田先生を知らない人が本を手に取る理由がわからない」
とのことでした。

たぶん、もっともなのでしょう。
私を知らない人が手に取りたくなるわかりやすいメッセージが必要です。
それが何なのか、現在、模索の最中です。

新人賞へ応募することも検討中です。
Webで公開して出版社から声がかかるのを待つのもありでしょう。
有効な一手がわからずに、とりあえず今は脇に置いています。
他のことで忙しいという事情もあるし。

今回、エッセイの導入部を皆様に提供します。
(後半は大幅修正の可能性もあるので、また後で)
直前まで悩んだけど、メルマガで流すことにしました。
私を知っている皆様ならば、
もしかしたら、響いてくれるかもしれないですから。

もうすぐ梅雨です。
ご自愛ください。

 

【柴田博仁メルマガ】No.10: 山田かまち美術館

[2024年8月11日 配信]

群馬大学情報学部の柴田です。

お久しぶりで恐縮です。
2か月ぶりの投稿になります。

「時間ができたら」などと考えていても、
時間などできるはずがない。
目の前の仕事を全部脇へ追いやって、
現実逃避でメルマガを執筆中です。

本日、高崎の山田かまち美術館に行ってきました。
私の世代の人間にとって、山田かまちは絶大な存在。
膨大な絵と詩を残して、わずか17歳でこの世を去った。

死後10年以上が経過した90年代の初めに、
かまちの詩集や絵画集が次々と出版され、ちょっとしたブームになった。
心に突き刺さる絵とメッセージ。
強烈なインパクトがあった。

『山田かまちのノート』から「佐藤真弓に捧げる詩」を引用。

  ぼくの心は 君を目的とした。
  君の存在に ぼくの視線ははしる。
  君の光は ぼくの心につながっている。
  ぼくの心は 君に支配された。
  ぼくはきみを追う。
  (中略)
  真弓 ぼくは君の名を呼ぶ
  真弓 君はどこから来たのだ?
  真弓 君とぼくは どこで出会った
  真弓 君はいつまでも いっしょに進んでくれるかい?

数ページ先には、かまちのノートの写真が。
「佐藤真弓」という名前が何十回も繰り返して書かれている。
鮮烈で、直情的。
10代の恋の切なさに、心を鷲掴みされる。

これを見て思い出したのが、尾崎豊の『シェリー』だ。

  シェリー いつになれば 俺は這い上がれるだろう
  シェリー どこにゆけば 俺はたどりつけるだろう
  シェリー 俺は歌う 愛すべきものすべてに

かまちの最初の詩集『悩みはイバラのようにふりそそぐ』
が出版されたのは、1992年。
くしくも、それは尾崎が亡くなった年だった。

そう。
私の中で山田かまちと尾崎豊はシンクロしている。


さて、山田かまち美術館は、高崎駅から徒歩30分というところか。
(私は車で行ったが)
17歳で亡くなった少年の美術館にしては、びっくりするほど大きい。
コンテンツも充実だ。
観光客も多いし、みんな熱心に見ている。
どの絵も詩も、強烈に人を惹き付けるものがある。
かまちが使っていたという勉強机でさえだ。

私が特に心惹かれたのは、小学校3年のときに描いたというトラやゾウの絵。
力がある。
うまいというより (実際、うまいのだが)、
動物の姿と動きの本質をよくとらえている。
見る目がいいのだ。
担任の先生が「この才能をどう育てたら良いのか?」と途方に暮れたのも頷ける。

思えば、小学校の頃、絵画コンクールで私たたびたび表彰されたことがある。
その絵は残念ながらもうないのだが、
きっと真面目な小学生が描いた丁寧だが、稚拙な絵であり、
かまちの絵のような力強さはなかったはずだ。

来場者の書き込みノートを見た。
「27歳。かまちが経験することのなかった10年を生きました」
「あなたの言葉が私を救いました」
かまちに語り掛ける言葉が多い。
「また来ました」
「今回が4回目」
何度も来ている来場者が多い。
かまちの精神性に触れたいのだと思う。
私だって、そう思った。

どうしても見たかった「青の自画像」の展示は、
残念なことに、今回はなかった。
それでもいい。
また行くつもりだし。

中学時代、山田かまちはBOOWYの氷室京介と同級生で、
一緒にバンドを組んでいたという。
氷室京介がかまちのお母さんに送った手紙があるらしいのだが、
今日はその展示もなかった。

高崎からの帰り、どうしてもBOOWYの「Cloudy Heart」を聴きたくなった。
ブックオフでCDを買って、車の中で何回も聴いた。
ロックでありながら、どこか寂しく、切ない。
こちらも、胸に刺さった。

研究室に戻って、YouTubeで2020年の氷室のライブを聴いた。
歳は取ったけど、氷室は昔よりいい男になったと思うし、
相変わらずの情熱的な歌い方だ。
生きていたら、かまちもこんな雰囲気だったのかと思ってしまう。

山田かまち、尾崎豊、氷室京介。
この3人に気づいた共通点。
3人とも綺麗な顔立ちをしている。
そして、寂しい目をしている。
どこか遠くを見ている。

かまち、尾崎、氷室に魅了された一日でした。

 

【柴田博仁メルマガ】No.11: 読書SNS「Quote」

[2025年1月22日 配信]

柴田博仁メルマガご登録の皆様

群馬大学情報学部の柴田です。

お久しぶりです。
5か月ぶりの投稿になります。
ご無沙汰してしまって、本当にごめんなさい。

書くべきネタは結構あるのです。
ですが、時間がありませんでした。
というか、落ち着いてメルマガを執筆する
心理的余裕がありませんでした。

今回の話題は研究室で開発したSNSです。
読書好きの人をつないで、
本の新たな楽しみ方を広げるために開発しました。

本のSNSというと「ブックメーター」「ブクログ」など、
たくさんあります。
Amazonの書評なども、それに近いかと思います。
ですが、どれも投稿の敷居が高い。
本について意見するのは難しいものです。
自分の意見だからと言っても、本の趣旨を外すことはできないし、
そのためには全部を詳細に読まないといけないし、
意見の仕方で知性が疑われるような気もするし、
下手に意見すると炎上しちゃうし。

そこで、私たちはこう考えました。
本全体について意見するから敷居が高いのだと。
本全体への意見だと、どうしても書評のようになってします。
ならば、本の一部を指定して、そこにコメントする形にしよう。
そうすれば、本の大意を外しても問題ない。
場合によっては「よかった」「うぉー」「わぉー」だけでもいいかも。
なんせ、本の一部へのコメントだから。

そこで、本の一部を引用してコメントすることで、
本について気軽に意見できるようにしたいと思いました。
開発したシステムは、その名も「Quote」。
本の一部の引用と、それに対するコメントをセットで投稿します。

ガッツある研究室の学生たちが、夏休み中に実装してくれました。
いわば、夏合宿の成果です。
研究室内で活用して、「意外と面白いじゃん」と。

昨年10月、前橋ブックフェスが開催されることになりました。
そのタイミングで学外にもリリースしようということになりました。
私ではなく、学生が言い出してくれました。
トラブルが生じた場合の怖さもあったのですが、
勇気ある学生たちに乗せられる形で、
私も一歩をお踏み出すことにしました。

そして、10月19日の前橋ブックフェスの初日、
学生たちが徹夜続きで作ってくれたQuoteをついにリリース。
https://reading-sns.com/

是非、ユーザ登録して、
好きな本の引用とコメントを投稿してください。

ブックフェスでは、群馬の鶴子さんが、
私からのQuoteの紹介ビデオを作成してくれました。
イケイケの調子のいい売込みをしちゃってます。
https://www.instagram.com/p/DBi9ABrMznr/

こちらも是非、見てやってください。
そして、「Quote、使ってみるか」と思ってやってください。

私としては、Quoteを大きく育てたい。
ガッツある学生たちが、
Quoteをビジネス化してくれないかなぁ。

 

2025年4月16日 (水)

【柴田博仁メルマガ】No.3: 「糸都」の特集「今こそ本を読もう!」

[2023年8月16日 配信]

柴田博仁メルマガご登録の皆様

こんにちは。
群馬大学情報学部の柴田です。

メルマガの第3回目をお届けします。

昨日話した
前橋商工会議所が発行する会報「糸都」(2023年8月、No.624) に掲載された
特集「今こそ本を読もう! 本で広がる! 人と賑わいの輪」
の件の続きです。

前橋商工会議所に問合わせて、
特集のPDFファイルをいただきました。
ありがたいことです。

下のURLでダウンロードできます。
(中略)

ネットでの公開、第三者への提供はご遠慮ください。

前橋のまちなか読書マップや
書店のオーナーからのコメントも紹介されていて、
とてもやわらかくていいです。
私のコラムだけ、妙に堅くていただけない。
それでも、是非、ご一読ください。

執筆中の『デジタル読書体験記』(仮題)、
昨日はだいぶ進展しました。
今日もがんばります。

本メール、返信可能です。
質問、ご意見等、遠慮なくお願いします。

 

【柴田博仁メルマガ】No.2: 暑中お見舞い申し上げます

[2023年8月15日 配信]

柴田博仁メルマガご登録の皆様

こんにちは。
群馬大学情報学部の柴田です。

メルマガの第2回目をお届けします。
前回の挨拶から2ヶ月以上がたちました。
本当にご無沙汰で、ごめんなさい。


前橋商工会議所が発行する会報「糸都」(2023年8月、No.624) に
特集「今こそ本を読もう! 本で広がる! 人と賑わいの輪」
が掲載されました。

私も制作に協力し、私が提唱する「読書2.0」のコンセプトも紹介してくれています。
私もコラム「本は手で読むもの」を寄稿しました。

8月に入って、立て続けに3つ講演をしました。

1) 生駒市 (奈良県) では、子どもの読書を推進する「トライ! 生駒子ども読書会議」で講演し、
100名以上の市民が参加して、私の話を熱心に聴いてくれました。
図書館も充実していて、図書館職員の方々の意識も高く、
生駒市は読書好きの人が多いまちなのだと実感しました。

講演のビデオを下で閲覧できます。
生駒市図書館の方が整理してくれました。
https://www.city.ikoma.lg.jp/vod/0000033298.html

2) 東京都葛飾区の小学校で、朝の読書を推進する先生方と交流しました。
一般参加も可能だったようで、
ハリーポッターが好きだという中学1年生の男の子も聴講し、
私に質問もしてくれました。

3) 「本のまち」の先進都市・八戸 (青森県) では、幼稚園の職員の方々に講演しました。
人生で初めて、退席時にスタンディングオベーションを受けて、感激しました。
運営スタッフのはからいで、
八戸で本のまちづくりを進めた前八戸市長の小林氏に講演を聴いていただき、
意見交換することができました。

本好きの人にたくさん会ってきました。
前橋での本のまちづくりも「ちゃんと声を上げ続ければ実現できるはず」と思えた夏休みでした。


現在、お盆を返上して、研究室で執筆中です。
書いているのは『デジタル読書体験記』(仮題)。
数年前に実施した、1年以上にわたる紙なしでのでの読書体験をまとめています。
8月中には出版社探しに取り掛かりたいと思っています。

メルマガ読者への特典のつもりで、
「糸都」に掲載した私のコラムを提供します。
下のURLでダウンロードできます。
(中略)

他の記事への対応については、少しお待ちください。

本メール、返信可能です。
質問、ご意見等、遠慮なくお願いします。

 

【柴田博仁メルマガ】No.1: ご挨拶と近況報告

[2023年5月23日配信]

柴田博仁メルマガご登録の皆様

こんにちは。
群馬大学情報学部の柴田です。

メルマガに登録いただき、ありがとうございます。

今後、本メルマガにて、
私の書籍の執筆や出版、私のエッセイなどの情報を展開します。
それから、たまに研究の進捗も少し。

さて、記念すべき第1回目のメルマガ。
今回は私の近況報告。

最近、私が取り組んでいることは、
大きく下の3つ。

1) エッセイの執筆
群馬大学に採用が決まってから、
最初の卒業生を送り出すまでの私の日常を
エッセイとしてまとめています。
主に学生に向けて書いています。
私の生き方から何かを学んでほしい。
クールでおとなしい現代の若者に、
熱血の生き方の選択肢を加えてほしい。
そんな思いで書いています。

現在、構想の半分ほどを書きました。
このエッセイ、週末に書いています。
週末がとても待ち遠しい毎日です。

2) 書籍『デジタル読書体験記』(仮題) の執筆
コロナになるまで、
全ての本をデジタルで読む「デジタル読書実験」を行ってきました。
その記録を本にまとめようとしています。
現在は日誌を分析をしたり、構想をまとめたり。
夏休み中に一機に書きあげたいと思います。

この書籍、昨年、一昨年の夏にも書こうとしたのですが、途中で断念しました。
今年も流してしまったら、執筆のタイミングはもうないでしょう。
(実験データとしての旬なタイミングを逃してしまう)
ということで、今年の夏は絶対に決めます。

3) デジタル教科書の評価実験の論文執筆
昨年、群馬大学共同教育学部附属小学校で
タブレットを用いた授業の評価実験を行いました。
その結果を早急に論文として出したいと思います。
来年度からのデジタル教科書の本格導入に向けて、
重要な示唆を含んでいると考えるのです。
是非、その前に出したい。


忙しい毎日を送っています。
そんな中から、少しずつ私からのメッセージを
お伝えしていきます。
書きかけの書籍の一部を提供するなども考えています。
どうか、お付き合いください。

本メール、返信可能です。
質問、ご意見等、遠慮なくお願いします。

 

« 2025年2月 | トップページ | 2025年6月 »

2026年7月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31