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2026年4月

2026年4月28日 (火)

【柴田博仁メルマガ】No.22: 書籍の新刊がもうすぐ発売されます

[2026年4月14日 配信]

柴田博仁メルマガご登録の皆様

ご無沙汰しています。
群馬大学の柴田です。

最近のトピック
・4年生5名が卒業
・修士課程1名が修了
・情報処理学会主催 インタラクション2026でM2 王さん (発表当時はM1) がポスター発表
  王 蕊, 小林 絵莉, 武川 昂暉, 矢野 浩二郎, 柴田 博仁 (2026). 紙の本のような触覚インタラクションを提供するVR読書環境の構築. 情報処理学会 インタラクション2026予稿集.

【書籍の発売】
私の書籍の新刊
『電子書籍時代の紙の本の価値 ~30か月間の読書の実体験からわかったこと~』が、
4月21日に産業能率大学出版部から出版されます。

前回の書籍『ペーパーレス時代の紙の価値を知る』から8年。
待望の新刊です。
今回は発売が待たれる新刊の制作秘話を話したいと思います。

【制作秘話】
群馬大学に移る前の富士ゼロックス株式会社に在籍していたころ、
私は意を決して、所有していた本を裁断、スキャンしました。
自分の仕事を徹底してデジタル化しようと考えたのです。
以来、購入した書籍もその場で裁断、スキャンして、デジタルで読みました。
そして、そこで感じたデジタル読書の利便性と問題点を日誌に書き留めました。
自分自身を被験者とするデジタル読書の実験です。

開始から1年ほどでコロナ禍が発生し、在宅勤務が求められたことから
実験の継続が難しくなりました。
今度は紙の読書に切り替えました。
デジタル読書と紙の本での読書の30か月分の日誌を分析したものが、
本書の内容になります。

その間、コロナになったり、会社を辞めて大学に移ったり、英語の書籍を執筆したり。
いろいろな出来事があり、とても実験として統制されたものにはなっていません。
(もともと被験者1人だし、統制しようなんて考えてみいないのですが)
ですが、その分、日常生活に根差した体験を本書には盛り込みました。

実験の終了から書籍の完成まで4年半。
何でそんなに時間がかかったのか。

大学での新しい環境の適応に時間がかかりました。
大学で学生の本づくりプロジェクトを開始し、その支援に体力を注ぎました。
また、自らもエッセイを執筆しました。
提出した原稿について、出版社から大幅な書き直しを命じられました。
体験談が中心の書籍だし、最初は一般の人向けの読み物として書いたのです。
ですが、出版社からは学術書にしてくれと言われました。
前回の私の書籍『ペーパーレス時代の紙の価値を知る』は、そこそこ売れたらしい。
だから、その第2弾に位置づけられるものとして、
新刊を学術書のカラーにしてほしいのだと言われました。
出版社の産業能率大学出版部は学術書の販売が得意なのです。

そこで、執筆の分量を増やしました。
他の論文を引用しながら考察しました。
引用文献も増やしました。
それでも、読みやすさを重視し、時に少しくだけた表現も入れました。
学術書でありながらも、専門家でなくても読める本にしたつもりです。

【書籍の内容】
書籍の内容は、私の読書の実体験が中心で、
それを紙とデジタルの書籍の利便性と問題点の観点から整理しています。

読み書きの研究をしてきた私ですが、
デジタル読書の実体験から見えてきた紙の本の利点が多々あります。
人はこれまでで当たり前にできていたことができなくなって初めて、
そのありがたみを感じるものなのだと実感しました。

また、本を読むという行為がいかなるものであるのかを考え直す機会ともなりました。
端的に言うならば、「読書は身体行為」です。
人は目だけでなく手も使っているし、手を使うことが読書体験を高めています。
さらに、「書籍は別々の体系」です。
なので、書籍ごとのかたまりを意識した読み方が大事です。
詳細についてはやはり、本書を手に取ってほしい。

【最後に】
さて、完成した書籍、
時間と手間がかかった分だけ、かわいくもあり、心配でもあります。
本書は多くの人に愛される書籍になれるのだろうか。
そうなれるよう、皆様にもお願いを申し上げます。
是非、読んで私に感想をください。
他の人にもすすめてください。

書籍は現在、Amazonで予約受付中です。
https://amzn.asia/d/04htox84

【関連リンク】
・書籍のHP
https://hci-lab.inf.gunma-u.ac.jp/books/denshi-shoseki/
・書籍のちらし
https://hci-lab.inf.gunma-u.ac.jp/books/denshi-shoseki/book4_brochure0.pdf
・Amazon販売サイト
https://amzn.asia/d/04htox84

2026年4月16日 (木)

【柴田博仁メルマガ】No.21: 山城へ行ってきました

[2026年3月20日 配信]

柴田博仁メルマガご登録の皆様

ご無沙汰しています。
群馬大学の柴田です。

最近、週末も仕事をしてます。
とにかく忙しいのです。
なのに思うような成果は出ていません。
時間の使い方に問題があるのでしょう。
そう思って、今日は仕事を放り投げて外に出ました。

行った先は、高崎市にある鷹留城。
箕輪城は城ファンの間では有名なのですが、
鷹留城はその支城。

鷹留城の訪問記に入る前に、
私の幼少期の話をしてみたいと思います。
テーマは、なぜ私は山城が好きになったのか。

【少年時代の思い出】
子どもの頃、私が住んでいた秋田市の外れに
羽川城という小さな城跡がありました。
戦国初期に羽川小太郎という地侍が作った城らしいです。
その城跡、今はだいぶ整備されて、
人が入れるようになっています。
ですが、私が幼かったころ、
羽川城は誰も踏み入ることのない雑木林、
いや単なる藪でした。

でも、冒険好きだった柴田少年は、
誰も踏み入ることのない藪にこそ魅力を感じてしまう。
そして、斜面を登り始めました。
藪の進行は困難を極め、最初の平地にすらたどり着くことができません。
ですが、その途中、白い石のようなものを見つけました。
小さいのですが、曲線が人工的。
ひときわ目立ったものとして私の目に飛び込んできました。
よく見ると茶碗のかけらです。
突然、体に電気が走りました。
少年はこう思ったのです。
戦国時代の誰かが私にメッセージを投げたのだと。
そして、数百年という時を超えて、
それを私が受け取ってしまったのだと。

以来、私は城が好きになりました。
それも、天守閣と堀がある観光地としての城ではなく、
山の中にひっそりとある、土でできた山城です。
当時は山城の本などありません。
数年分のお年玉をため込んで、
全10巻の城郭辞典 (小学館) を買い揃えました。
嘗め回すように読んだ。
何十回も。
3度のメシよりも城郭辞典の写真や地図を眺めるのが好きでした。
城の歴史や見どころを読むのも。
そして、たまに机の引き出しから茶碗の遺跡を取り出して、
戦国時代へと想いを馳せていました。

後で考えると、私が拾った茶碗のかけらは、
色がついていて、デザインが現代的です。
戦国時代の遺跡などではなく、
農作業をしていたおっさんが、
割れた茶碗を山に投げ捨てたものと思われます。
それだからというわけではないのですが、
高校生くらいから、少しずつ歴史への熱が冷めていきました。
それでも、拾った茶碗のかけらは、
私を城好きへと導いたアイコニックな遺跡であることに変わりありません。
社会人になって、再び歴史に興味を持つようになり、
少年時代の私の生き方を決めた茶碗のかけらを再び手にしたいと思いました。
帰省の際に必死で探したけど、
残念なことに、ついに見つかりませんでした。

【鷹留城】
長くなりました。
今日訪れた鷹留城に話を戻しましょう。
場所は榛名山の中腹。
周囲に家などなく、車でないと行けません。
なのに駐車場もない。
「鷹留城跡 0.3km」という小さな看板があるだけ。
看板下の小さなスペースに、車をほぼ路駐。
訪れる人がほとんどいないのは明らか。
細い道を山の中に入って行くと、
切り立った崖が見えてきた。
わざと山を削って、急斜面にした切岸 (きりざし) です。
両側が崖の通り道がある。
尾根を切り崩して人が通れるようにしたもので、堀切 (ほりきり) といいます。
時期にもよるのでしょうが、雑木も多く、
あまり整備されていません。
それでも、土塁の形はよく残っています。

鷹留城の写真については、
Facebookの投稿を参照してください。
https://www.facebook.com/hirohito.shibata.1/posts/pfbid0ZLsd1978u4xLrB9m7sgi8r1EDfhnVXKHE8UXfr7hAFmBtAXHghJAqpr8inbu8gvBl

木で覆われて、中は暗いし、
外からは、そこに城があるようにはとても思えない。
むしろ、人を寄せ付けない雰囲気がある。
それでも、いったん中に入るとこうして埋もれた城が見えてくる。
土塁は一部が崩れ、木が生え、斜面は雑木で覆われて。
まるでラピュタ。
誰も踏み入ることのない山の中で、
かつての栄華を感じ取ることができる。

この山城のロマンを少し感じ取ってほしくて、こんな話をしてみます。
天空の城として、インカ帝国のマチュピチョはあまりに有名です。
マチュピチョを訪れた人は、誰もが感動することでしょう。
行ったことのない私ですら、写真を見ただけでワオーですから。
でも、マチュピチョに最も衝撃を受けた人は、マチュピチョを見つけた人だと思うのです。
今は観光客も行けるよう整備されていますが、
当時、マチュピチョは荒れ放題だったはず。
何もないはずの山奥で、かつての人の営みをみつけた探検家の衝撃は相当なものでしょう。
それこそ、何万ボルトの電流が体を駆け抜けたことか。
それに近いような感情を、
山奥にひっそりとある埋もれた古城が与えてくれるのだと。
私はそう考えているのです。

【最後に】
さて、今日、私が訪れた鷹留城。
かなりよかった。
山城ファンとして格付けが高かったというより、
久しぶりに山城を訪れて、
空想を巡らせたことがよかった。
たまにこうする必要があるのだと思いました。

今日は研究の話はゼロでした。
メールのチェック以外、仕事もしませんでした。
明日から全力でやります。

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