文献紹介 [メディア比較]

2012年5月 8日 (火)

[Kruk 1984] Reading of continuous text on video screens

【文献紹介】
Kruk R. and Muter, P.: Reading of continuous text on video screens. Human Factors, 26 (3), pp.339-345, (1984).

http://www.psych.utoronto.ca/users/muter/Abs1984b.htm
http://www.ingentaconnect.com/content/hfes/hf/1984/00000026/00000003/art00009

【概要】

3つの実験をもとに以下を主張
○ スクリーンでの読みは本での読みよりも遅い

この理由を探るために実験を制御
○ スクリーンでの画面表示に9秒を要す条件では、読書スピードに違いはなかった。
○ コントラスト比、スクリーンからの距離を制御しても、読書スピードに違いはない。
○ フォーマット (1行あたりの文字数) を制御。1行39文字以下では、1行40文字から60文字の通常のフォーマットよりも遅い。しかし、これ単独の効果 (9.5%) では、スクリーン条件で読みが遅い (24.1%) ことの説明にはならない。
- 1行20文字
- 1行39文字
- 1行40文字
- 1行60文字
○ シングルスペースはダブルスペースよりも10.9%遅い。


【実験の詳細】

■ 実験1: メディアのフォーマット

本条件
・1行60文字×1ページ40行 (dense)
・1行39文字×1ページ20行 (sparse)

スクリーン条件
・画面表示に9秒 (delayed)
・画面表示に0.5秒 (instant)

被験者はトロント大学の学部生24名 (男性17名、女性7名)。

スクリーン条件では、
・ディスプレイは対角線の長さが 30.5cm (およそ10インチ)。
・文字は 5×7 のドットマトリックス (Figure 1)。
・文字は1cmあたり2文字。
→ Figure 1 を見るかぎり「1行38文字×1ページ19行」というところか
→ すなわち、スクリーン条件は本条件での sparse に近いといえるだろう
・スクロールはなし。キーボードで次のページに移動。

スクリーン条件では、およそ150cm離れた場所から見る。本条件では、好みのスタイルで読む。

結果
・読書スピード (語/分) について
delayed = instant < sparse < dense


■ 実験2: メディアからの距離

被験者はトロント大学の学部生18名 (男性8名、女性10名)。
全員スクリーンで読む。
ただし、スクリーンとの距離を制御するため、あごを台に乗せて読む。

距離 (3条件)
・40cm
・80cm
・120cm

結果
・読書スピード (語/分) について
40cm = 80cm > 120cm


■ 実験3: コントラスト比、行間

被験者はトロント大学の学部生12名 (男性3名、女性9名)。
全員スクリーンで読む。
スクリーンからの距離は120cm。

コントラスト比
・4.6:1
・83:1

行間
・シングルスペース
・ダブルスペース

結果
・コントラスト比については、スピードで有意差なし
・シングルスペースは、ダブルスペースに比べて10.9%遅い
・理解度については、条件間で有意差なし

2012年5月 3日 (木)

[Wastlund 2008] The effect of page layout on mental workload: A dual-task experiment

【文献紹介】
Wastlund, E., Norlandera, T., and Archerb, T.: The effect of page layout on mental workload: A dual-task experiment. Computers in human behavior, Vol.24, No.3, pp.1229-1245, (2008).

スクロール(VDT)よりページレイアウト(VDT)で読んだ方が認知負荷が低い。一方、理解度と認知負荷の主観評価(ストレス、一般疲労、眼精疲労)では両者に違いが無かった。

2012年4月24日 (火)

[Wastlund 2005] Effects of VDT and paper presentation on consumption and production of information: Psychological and physiological factors

【文献紹介】
Wastlund, E., Reinikkaa, H., Norlandera, T., and Archerb, T.: Effects of VDT and paper presentation on consumption and production of information: Psychological and physiological factors. Computers in Human Behavior, Vol.21, No.2, pp.377-394, (2005).

VDTより紙で読んだ方が情報を理解できる。VDTより紙を使った方が情報を多く生み出すことができる。一方、生み出した情報の質は紙とVDTを使ったもので違いがない。

2012年4月17日 (火)

[Wilkinson 1987] Proof-reading: VDU and paper text compared for speed,accuracy and fatigue

【文献紹介】
Wilkinson, R.T. and Robinshaw, H.M.: Proof-reading: VDU and paper text compared for speed, accuracy and fatigue. Behaviour & Information Technology, Vol.6, No.2, pp.125-133, (1987).

[Wright 1983] Proof-reading texts on screen and paper

【文献紹介】
Wright, P. and Lickorish, A.: Proof-reading texts on screen and paper, Behaviour and Information Technology, Vol.2, No.3, pp.227-235, (1983).


論文を読んで、コメントを記述する査読者の査読プロセスがどうあるべきかという観点からの実験。

[S+S] text on screen + screen annotations
[S+P] text on screen + paper annotations
[P+P] text on paper + paper annotations

テキストは4つ。テキストはおよそ1500語で、39のエラーを埋め込んでいる (38語につき1つ)。エラーは単純なミススペル。

被験者は32名。年齢は21から64歳 (平均は45歳)。

結果
・スクリーンでの校正は、紙での校正よりも遅い
これは従来研究 (Muter etl a1 982) と一致する。
・スクリーンでは、エラー検出が少ない
Muter et al (1982) では理解度に差はなかったが、この実験ではエラー検出率に違いがある。

2012年4月14日 (土)

[Muter 1991] Reading and skimming from computer screens and books

【文献紹介】
Muter, P. and Maurutto, P.: Reading and skimming from computer screens and books: The paperless office revisited?, Behaviour & Information Technology, Vol.10, No.4, pp.257-266, (1991).

http://www.psych.utoronto.ca/users/muter/pmuter2.htm

【概要】

80年代の標準のコンピュータでの読みは、紙での読みよりも遅いというのが、これまでの研究で示されてきた。本稿では、スキミングと読みを調べた。スキミングは本に比べて、ディスプレイでは40%遅い。高品質ディスプレイでは、読みのスピードと理解度は本と同じだった。ペーパーレスオフィスは今にも起ころうとしている。

【詳細】

1970年代、遠くない将来にペーパーレスオフィスの出現が予想された (Lancaster 1978)。しかし、ディスプレイでの読みは紙での読みよりも遅いことが実験的に示された (たとえば、Muter 1982)。コンピュータが広く普及するに応じて、紙へのアウトプットも増加した。そして、予想は、「紙はコミュニケーションにおける最も人気のある手段であり、今後もそうあり続けるだろう」というものに変わった (Plume 1988)。

Muter (1982) は、vidoetex と本とで読みのスピードと理解度を比較。vidoetex は、本に比べて28.5%遅い。両者において、理解度には差はない。他にもCRTでの効率の低下について、多くの研究者が指摘 (Creed 1987; Gould 1984; Gould 1987a; Haas 1986; Hansen 1988; Kruk 1984; Wilkinson 1987; Wright 1983)。

本での読みとコンピュータでの読みの違い (違いをもたらす要因)
・読んでいるモノと読み手との距離
・読んでいるモノの角度
・文字の形
・解像度 (Harpster et al 1989)
・行の文字数 (Duchnicky & Kolers 1983)
・ページの行数
・ページの単語数
・行間のスペース (隙間) (Kruk & Muter 1984)
・文字の実際のサイズ
・文字の視覚的な角度
・文字間のスペース (隙間)
・左寄せ (left justification) vs 両端ぞろえ (full justification) (Campbell 1981; Trollip & Sales 1986)
・マージン
・文字と背景のコントラスト比
・光が断続的か連続的か
・polarity (暗い背景に明るい文字か、明るい背景に暗い文字か) (Bauer & Cavonius 1983)
・光が放射か反射か
・interference from reflections (Daniel 1987)
・安定性 (ちらつき、ゆらぎ、チカチカした光) (Stewart 1987)
・色度 (chromaticity) (Matthews et al 1989)
・読み手の姿勢
・メディアの親密性 (familiarity)
・偶発的な位置的手がかりの有無 (Wright 1984)
・アスペクト比
・角のシャープさ
・湾曲 (curvature)
・コーナーの歪み
・システムの反応時間
・text advancement の手法

Gould et al (1987b) によると、高解像度でアンチエイリアス処理をしたCRTディスプレイでは、紙と比較して校正スピードに有意差はない。同様の結果は、Oborne & Hoton (1988) によっても導かれている。彼らは紙の品質を落としてCRTディスプレイと同程度にして比較し、読みのスピードに違いがないことを示している。


2. 実験1

被験者は24名 (年齢は19~30)。19名はトロント大学の学生。素材は『The complete works of Saki』(1976) の短編。

本の条件では、およそ5ページの文章からなる。サイズは 10.5x17cm。各ページは41行であり、列には60の文字。文字のサイズは10ポイント。

CRT条件では、Macintosh II を利用。モニタの解像度は640x480。リフレッシュレートは66.7Hz。サイズは23.5x17.6cm。文字は12ポイント。文章はおよそ12ページ。各ページには、12行分のテキスト。
→ 本とCRTとで表示面積、文字ともにサイズが異なるのが気になる。ページあたりの行数、文字数が異なるのもいかがなものか。

前のページに戻って読んではいけないことを教示。

タスクは2種類
・読み
・スキミング

スキミングでは、内容の全体的な感覚、主要な点のみを獲得するため、通常の3~4倍の速さで読むように教示される。

読み、スキミングについて、被験者をランダムに振り分け (すなわち、両実験は12名ずつ)。デザインは、被験者内の 2(メディア)×3(試行) ANOVA。

結果
○ 読みについて
・スピードに関しては、紙、CRTで差はない
・理解度については、CRTの方が高いが、優位な差ではない
○ スキミングについて
・スピードに関して、紙はCRTよりも速い (全員が紙の方が速い)
CRTの方が41%遅い
・理解度については、CRTの方がよい
・効率 (スピード×理解度) では、紙の方が高い

スピードと理解度のトレードオフ。

距離については、読みのタスクで、本よりもCRTの方が読み手から遠かった。スキミングについては、距離に有意な違いはなかった。


3. 実験2

読みにフォーカスして、フォーマットとの関係を調べる。

被験者は18人 (年齢は19~29)。
Sakiの6つの短編を素材として利用。
テキストフォーマットの違う2つのディスプレイ
CTR-A: 80年代の多くのコンピュータスクリーンに見られる。12ポイントのMonacoフォント。サイズは 17x18cm。
CTR-B: 実験1の条件に似ている。14ポイントのChicagoフォント。サイズは 24x18cm。
→ ディスプレイサイズ、フォントサイズも違う。これで比較していいの?

結果
・読みのスピードは、Book > CRT-A > CRT-B の順で有意。
・理解度は、スピードの逆順であるが、有意な差ではない。


4. 議論

1991年時点で利用可能なディスプレイを用いて、ディスプレイでの読みは本での読みとスピード、理解度において同等レベルである。ペーパーレスオフィスは今にも起ころうとしている (The paperless office may be imminent after all)。

スキミングのスピードについては、CRTと本で大きな差 (41%) が生じた。しかし、これは次の4つの理由からペーパーレスオフィスを妨げるものではないだろう。
1) 違いは、スクリーンの問題よりもテキスト表示のフォーマットに依存する。現状のCRTのフォーマットはスキミングよりも読みに最適化されている。Kolers (1981) によると、狭いカラムはスキミングを向上させる。
2) スキミングのスピードの違いは、スピードと正確さのトレードオフの結果である。スキミングでも、理解度についてはCRTの方が高かった。
3) スピードの違いは、本条件でページごとの単語数が多いことに起因する。
4) おそらく、結果はタスクに依存したもの。実験では、物語が何についてのものかを得ることを依頼した。特別な情報のスキミングのタスクに変えれば、結果も異なるものとなるはず。

2012年4月10日 (火)

[Muter 1982] Extended reading of continuous text on television screens

【文献紹介】
Muter, P., Latremouille, S.A., Treurniet, W.C., Beam, P.: Extended reading of continuous text on television screens. Human Factors, Vol.24, No.5, pp.501-508, (1982).

被験者32人。連続して2時間、テキストを読む。半分はスクリーンで読んで、残り半分は本で読んだ。両条件で、吐き気や頭痛などは全く報告されなかった。眠気、疲れ、目の疲労などが少し報告されたが、メディア間では有意差がなかった。理解度にも差がなかった。スクリーンでの読みは、本に比べて28.5%遅かった。スクリーン条件で、水平方向の文字間の隙間の違いに関してはは、スピード、理解度ともに違いはなかった。この結果をふまえると、スクリーンでの読みは十分に実用に耐えうるものである。

2012年4月 7日 (土)

[Mills 1987] Reading text from computer screens

【文献紹介】
Mills, C.B., and Weldon L.J.: Reading text from computer screens. ACM Computing Surveys, Vol.19, No.4, pp.329-357, (1987).

スクリーンでのテキストの読みやすさ (readability) についてのサーベイ。多くの研究は、スクリーンは紙よりも読みにくいとしている。その要因にはさまざまなものがあるが、ここで取り上げるものは、文字の形、スクリーンのフォーマット、背景や文字のコントラストや色、スクリーンの動的な側面。

2012年4月 2日 (月)

[Dillon 1992] Reading from paper versus screens: A critical review of the empirical literature

【文献紹介】
Dillon, A.: Reading from paper versus screens: A critical review of the empirical literature. Ergonomics, Vol.35, No.10, pp.1297-1326, (1992).

紙での読みとスクリーンでの読みの比較についてのサーベイ。少し古い文献ではあるが、かなり詳細。メディア比較研究については必読。

次のようなことがまとめられている。
○ スピード
スクリーンでの読みが紙での読みより遅いとは結論付けられないが、遅くなる傾向があるようだ。
○ 正確さ
スペルチェックなどの単純作業については紙の方が正解率が高いが、認知的付加の高いタスクではスクリーンの方が正解率が高い。
○ 疲れ
スクリーンで読むことについて、本質的な疲れは見出せない。しかし、長時間にわたって高いパフォーマンスを維持することは難しい。
○ 理解
理解度はメディアに依存しない。しかし、場合によってはスクリーンの方がよいこともある。
○ 好み
紙を好む人が多い。しかし、技術の進歩とともに、紙からスクリーンへのシフトしているようだ。
○ プロセス
- 目の動きに関しては、メディアによる有意な違いはないように思われる。
- スクリーンは紙に比べて操作性 (ページめくり) が悪い。
- スクリーンでは、紙に比べてナビゲーションに費やす時間が多い。

2012年3月31日 (土)

[Dillon 1990] The effect of display size and text splitting on reading lengthy text from screen

【文献紹介】
Dillon, A., Richardson, J., and McKnight, C.: The effect of display size and text splitting on reading lengthy text from screen. Behaviour and Information Technology, Vol.9, No.3, pp.215-217, (1990).

ディスプレイサイズと読みの関係について、比較実験を行っている。被験者は12人。
○ ディスプレイサイズ (Small, Large)
○ ページ区切りで文が切れているか否か (Split, Non-split)

両者において、読むスピード、理解度について有意差はなかった (しかし、理解度では Large の方が若干高い)。ページ移動やスクロールなどの操作に関しては Large の方が有意に少ない。

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